#75



広いベットはクイーンサイズだ。
二人で作ったハンドメイド。

どうやって作ったかなんて教えてあげない

この広いベッドに一人、でんぐり返り
一回転二回転
ころりころころ転がり回る。

えーんと泣いた振り
一回転二回転

ころりころころベッドの角へ
放り投げてた本をちらり
物語は誘ってくれずに放り投げて
一回転二回転

カーテン開けて窓の外
うんと輝く星は何て名前

ころりころころ一回転二回転

広いベッドに一人
えーん、と泣きまねしながらでんぐり返り。

脱ぎ捨てたパジャマ着てみて
余る袖バタバタ
ベッドで飛んで飛べない鳥の振り

軋むスプリング、壊れるかな広いベッド
暴れるベッドに安眠妨害された猫が
恨めしそうに床に寝そべって私見上げる

ころりころころでんぐり返り

転がりすぎて、目が回って壁に頭ぶつけた
でんぐり返り一回転二回転

二人でね、西枕、東枕、南枕、北枕
どこでねても十分ごろごろ

一人だったら十二分にごろごろ

まっ暗夜は一人では嫌い
今日はそんな我が儘だして
えーん、泣いた振り

部屋で一人莫迦みたい

だけど今日はデングリ返り
一回転二回転

ころりころころ転がって
壁に頭ぶつけて泣くのよ

えーんって。

空が明るくなったら、遊び疲れて眠る
転がってぶつかって泣いた振りでんぐり返り

ころころころ
転がって







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#59


まったくさ、君はさ
思うままを口にして
実に無邪気にはしゃぐんだ

どれだけさ言い聞かせても
君はさ、どこまでも無垢で

そんなじゃさ、あんな狡猾な生き物の群の中
さぞや生きにくいだろうと思うのに

君はさ、その持ち前の無邪気さで
以外にも平然と実に身軽に
狡猾な群の中歩いて行けたりするんだね

これからもさ、君はさ
たくさん笑えば良いさ

だって君、別にさ
楽して生きて来た訳じゃないし
時に険しく厳しい道をこうして此処まで来た訳だし。

だから君、ここでどうか間違えずに
ぽっかり開いた暗い穴にどっぷり落ちる前に

そのままさ無邪気なまま
思うまま無垢なまま

大事な手を離さず、どうか歩いて行って欲しい。

君の大切なものは、いつだって君の隣にある
君の中にある。

狡猾な生き物の群の中にはないんだよ。

それをさ、君はどうか忘れないで
君は最後の其の時まで
思うまま無邪気なまま、無垢なまま

ああ楽しかったと笑っていって

カーテンコールは無いけど
それもまた素敵な舞台の幕引き。

おめでとうおめでとう
沢山の花束に埋まる君の背中を

拍手で送り出すよ

おめでとうおめでとう

君は無垢なまま、幸せに。











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#55

かつて私が愛した男は
私の友人を恋人とした

私の友人は、私の愛した男の卑怯さを見抜いて
男の恋人である事を放棄した

かつて私が愛した男は
私の友人を恋しいと泣く

私の友人は、私の愛した男の卑猥さを見抜いて
二度と自分に近寄らないように告げる。

かつて私が愛した男は
私の友人を想って眠れない夜をすごし

アイの言葉を私の友人に書き贈り
ひたすら私の友人に逢いたくて彼女に懇願し
いかに私の友人を愛しているかを
知り合いにいいふらす。

私は妬む事を止める事ができない

私を襤褸屑のように捨てたくせに
他の人間に恋だ愛だささやく男に

その男の愛を一身にあびて平常心で
男を拒絶出来る私の友人に。

ねたましい
ねたましい
ねたましい


憎しみを込めて、私が愛した男を
私は殺した。

息絶えた男をずたずたに引き裂くと
彼は段ボールのように容易く肉をはがし
中身はやはり段ボールのようにかすかすだった。

こんな浅はかな人間に捨てられたのか
こんな空っぽな人間に心奪われているのか

跡形も無く男を引きちぎって
ずた襤褸にしても
憎くて、にくくて、しかたなく

裏庭のゴミバコに
男の残骸を放り投げて火を放つと、

段ボール紙のように薄っぺらな男は
あっと言う間に燃え上がり

空に灰カスとなって還って行った。


ちりぢりに
ばらばらに

















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#38

ビールなんて美味しいのは最初の一杯だけだ。
特にこんな日は
こんな気分の時は、

こんな胃が痛い日に飲むビールなんて最悪だ。
しかもなんだって酒の肴はナッツしか無くて
傷む胃袋さらに痛めつけて、何してるんだ一体

液晶画面の向こうでは、出逢いチャットの画面が開き
楽しそうに会話している男女を見る事が出来る。

助けてとあのナカに入るのはきっと容易い
上辺だけは皆仲良くしてくれるだろう。
でもそれじゃダメだ。
それじゃ何も埋まらない。

胡桃を噛み砕き、ビールで流し込みながら
痛い、胃が痛いと私は泣く。

痛いから助けてと私は泣く。

だけど、私は叫びはしない。
痛い助けてと泣く事はしても
お願い助けてと叫びはしない。

アーモンドを噛み砕き、ビールで流し込みながら
傷む胃を抱えて私は歯を食いしばる。

私は寂しい。
こんなに寂しい。

でも明るい液晶画面の向こうの
偽りの会話と言葉のナカにはもう二度と行かない。

其処に行っても何も満たされない。
ただカラッポが酷くなるだけだ。

それを全身で痛いほどに私は良く理解出来たから
だから其処には行かない。

其処でウタウものは
全て偽りだ。
甘ったるい愛だの恋だの
全部嘘っぱちだ。

酔えるやつらは一生酔えば良い。
私はそんなヤク中はごめんだ。

カシューナッツを噛み砕きビールで流し込みながら
傷む胃を抱えて私は歯を食いしばる。


「寂しい」と呟く相手を二度と間違えたりはしない。
その言葉を言える相手は、私のナカでただ一人なのだから。

こんなに寂しい。
こんなに独ぼっちだ。

それを武器に飾り立てて
偽りの世界に浮かぶ事は
私はもうしない。

自業自得で空いた穴。
それがカラカラと悲鳴を上げる。
身体のナカの空っぽな穴が震えてたてるこの悲鳴

身体がやせ細り思考は滞り
何も見えなくなり、いっそ死んだ方が
ましだと思わせるに等しい孤独感。

ばりぼりとナッツを噛み砕きビールで流し込んで
私は歯を食いしばる。

コレから先ずっと、私はコレを抱えて生きてゆく
死ぬまでずっと抱えて生きてゆく。
コレは塞がる事が無い。

それが私の背負うもの。
過ちを犯した私の背負うもの。

それが耐えきれず、今夜のように
私は何度も泣くだろう。

でも、決して叫んだりしない
それで自分を禍々しく飾り立てもしない。

そんなものはビールで流し込む。
身体のナカに空いたくらい穴に全部流し込む。

傷むのは自分の身体だけで十分だ。
それだけで十分だからだ。


















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#29

ボーンボーンと除夜の鐘

煩悩本能万能洗脳
百八つもの汚れもの
ならして除け
ゆく年の
煩悩洗脳万能機能
明けてめでたや
かわらぬ一年
めぐりめぐりて過ぎ去る年の
繋がり塞がり引きこもり

ボーンボーンと除夜の鐘
煩悩本能洗脳不能
百の八つの穢れもの

人の心の穢れもの
ならして除けるものならば
百や八つやとならして祈れ

神よ仏よ念仏心経

穢れ払って迎える年も
終わる頃には汚れて終える
人ノ世歩んで居る限り

百や八つや醜さや

清純純粋純白無垢や


ボーンボーンと除夜の鐘
迎える朝日が照らすのは
明快極楽炎獄地獄

穢れ年明け明けても穢れ

歩む先には薄暗闇の
灯す灯火指し示す

煩悩本能万能無能

鳴らして祓え一年の汚れ祓っ再び纏う
生きるかぎりの汚れもの
百や八つや明けても纏う

纏うまどうは人の世の
儚き道行き触れもせず

ひとよひとよひとりごと

煩悩本能万能無能

ボーンボーンと鐘が鳴る
新たな穢れの始まり終わり

ボーンボーンと鐘が鳴る


春迎え桜祝えその根にあるは
哀れな骸。














謹賀新年










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