#55

かつて私が愛した男は
私の友人を恋人とした

私の友人は、私の愛した男の卑怯さを見抜いて
男の恋人である事を放棄した

かつて私が愛した男は
私の友人を恋しいと泣く

私の友人は、私の愛した男の卑猥さを見抜いて
二度と自分に近寄らないように告げる。

かつて私が愛した男は
私の友人を想って眠れない夜をすごし

アイの言葉を私の友人に書き贈り
ひたすら私の友人に逢いたくて彼女に懇願し
いかに私の友人を愛しているかを
知り合いにいいふらす。

私は妬む事を止める事ができない

私を襤褸屑のように捨てたくせに
他の人間に恋だ愛だささやく男に

その男の愛を一身にあびて平常心で
男を拒絶出来る私の友人に。

ねたましい
ねたましい
ねたましい


憎しみを込めて、私が愛した男を
私は殺した。

息絶えた男をずたずたに引き裂くと
彼は段ボールのように容易く肉をはがし
中身はやはり段ボールのようにかすかすだった。

こんな浅はかな人間に捨てられたのか
こんな空っぽな人間に心奪われているのか

跡形も無く男を引きちぎって
ずた襤褸にしても
憎くて、にくくて、しかたなく

裏庭のゴミバコに
男の残骸を放り投げて火を放つと、

段ボール紙のように薄っぺらな男は
あっと言う間に燃え上がり

空に灰カスとなって還って行った。


ちりぢりに
ばらばらに

















テーマ : 詩・想 - ジャンル : 小説・文学

流れて泳いで行くうちに、固い鱗(鎧)を身につける事


このデジタル世界に泳ぎ出して、三年ちょっと。
ただ書きたいから、それだけを理由に泳ぎ出して三年。

最初から実に無防備に無邪気に泳ぎ出した
稚魚のような私は、其処に巣食っている猛魚に襲われ、
頭からバリバリと食べられた。

一度の事じゃない。

何度も、何度も。

その度痛いと泣き喚いて
大騒ぎをして、ほらこんなに喰われたと
猛魚の歯形を見せて騒ぎ立てて
皆を集める。

そんな事を繰り返して。

でもそこは、自分の本流を離れたところで
いい気になって遊んでいたからで
笑い者になればこそ、実は誰にも同情されるものでもなく
ただ自分の愚かさだけが晒されるだけだったのだ。

自分のやりたい事はなんだった
目的はなんだった

そんな事を戒め考え
固い鱗を手に入れたいと願う。

未だ白いやわな身体をむき出しのまま
この01の信号の大河を泳いで
何時また猛魚に喰われるかも判らないのに

ああ、固い鱗を手に入れなくちゃ
しっかり身体を覆って
猛魚に喰われないようにしなければ。

自分の目的を忘れない事
何をしているか忘れない事

ここは01の信号の大河
自分はちっぽけな稚魚

それをよおくよおく自覚して
無邪気に泳ぐ事はやめること。

改めて自分に言い聞かせる七月。

テーマ : 思ったこと・感じたこと - ジャンル : 日記

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