ぶーんと朝から芝刈り機の音がしていた
ぱちんぱちんと枝切り鋏の音もしていた
いつもは後回しになっている洗濯機をぶんぶん回して
たまっていた洗濯物をすべて干した。
太陽が顔をだす、まぁいい天気であったから
洗濯物なんぞすぐに乾くだろうと思っていたのに
やはり梅雨は開けていない証に、いつまでも湿り気がとれずに
ああなんだかなぁと思う。
ベッドに寝転がって本を読むクセは止めようと思う。
だって、ベッドに読んだ本や読みかけ本がごろごろ
片付けられないんだから止めようと思うのに
本日も本棚を物色して本を探している。
あーあだよねと、その腕を枕代わりにさせてもらっている隣の人を
見上げて同意を求めると、やはり文庫本に熱中しているその人は
うーだかふーだかのどの奥で返事をしているだけで
まぁいいかぁと、自分も活字に視線を戻し、腕枕してもらっている
其の人の肌から、風呂上がりの石鹸の香りが漂い
その香りを深く吸い込みながら、
ぶーんという音や
ぱちんぱちんという音をBGMにして聞いている
部屋中の窓を開け放してあると、
少し水気のある冷えた空気が流れてきて、
こんな時だけは、時間がゆっくり流れる。
ぱたっと近くで音がしたので、おやと顔をあげると
案の定、腕枕の人はすやすやと安らかな寝息を立てていて
タオルケットを掛けてやりながら、はいお休みと額にキスすると
一瞬だけ、ふにゅだとかむにゅだとか鼻で返事をして
寝顔というのは、何だか幾つになっても、幼いもんだよなぁと思う。
再び本に視線をもどして、腕枕の人の石鹸の香りと温もりと
外からのどかに聞こえる、ぶーんだったり、ぱちんぱちんだったり
それらの音に混じって、今度は、ぷーぷかぷーぷかと拙い演奏が始まる。
何処かで子供が奏でているピアニカ。
きょぉーおーぉは、
おやーすみぃー
おやーすみぃー
すやすや
ごろごろ
ぷーかぷー
ぷーかぷー
足元で丸くなっていた猫が、うーんにゃぁと伸びをした。
テーマ : ショートショート - ジャンル : 小説・文学